看板で変える 7秒集客ルール

すぐれた看板はマーケティングで

1 すぐれた看板はマーケティングで

看板制作にあたっては、マーケット調査が欠かせない。
看板を作るのに、どうしてマーケティングが必要なのかと思われるかもしれない。クライアントからいわれたとおりの要素を入れて、それらしくデザインし、目立ちそうな場所に設置すればいいのではないか。多くの看板業者、内装業者がこのように考えて看板を作っている。

しかしこれだけでは不十分なのだ。いや、これでは本当にクライアントが望むような看板を作ることはできない。マーケティングのない看板など、単なる自己満足にすぎないと断言できるいだろうか?

せっかく内装に凝ったいいお店を作りながら、独りよがりの自己満足にすぎない看板を街のあちこちで見かける。

内装デザイナーは、いい店を作ってクライアントに引き渡せばそれで満足するかもしれない。しかし、オーナーや店長は、そこから「売り上げアップのスタート」なのである。要は、お店作りがゴールではなく、売り上げアップ、集客がゴールのはずだ。だとすれば、自己満足の看板ではなく、マーケティングにもとづいた集客のための看板を考えるべきであろう。それは、看板を見直すことだ 。

クライアントの目的は、多くのお客を集め、売り上げ・利益を上げることだ。そのために売り上げ予測を立てるが、重要なのはまず立地である。まったくお客がいそうもないところにお店を出す人はいないし、集客においてある程度の勝算がなければ、その場所に固執する必要はない。そのためにエリアマーケティングは欠かせないだろう。

一般的に、マーケティングによる売り上げ予測は、立地をベースにして、商品力が同じことを前提とした「重回帰分析」という手法をとっている。同じ商品で同じ業態、同じ店舗の全国のお店のデータを積み重ねていって分析する、全国ブランドのハンバーガーショップやコンビニエンスストアなどがそうである。新店をオープンするときには、これを元に多くの共通項目・非共通項目の係数を掛け合わせて売り上げを予測するわけである。

看板を作るのも同じことである。なぜなら、いくら集客の最大化をはかっても、もともとそれができるポテンシャルが低ければ、お金をかけて看板を作ってもクライアントが望むような成果は出せないからだ。もし、エリアマーケティングの結果、あまりにもマーケットポテンシャルが低い場合には、私は看板を作ることを断る。もともと立地の悪いところにクライアントがお金を使うことはないからだ。


2 ローコストで最大の集客効果を上げる

看板はそれぞれのお店が持っている“魅力”をきちんと消費者に伝えるのが使命である。もしも過大広告をすれば、「看板に偽りあり」ということで社会的に抹殺されてしまう。

どんなお店にでも魅力があるはずだ。だから、それを看板で訴求すれば来客数を増やすことができる。だが現実としては、来客数が伸びないことに頭を痛めている店長が多い。

その要因はただ一つ、せっかくのお店の魅力を十分に伝えきれていないことである。看板というものが持つ威力をフルに発揮させることができていないのだ。

看板を効果的に使うためには、科学的な分析と同時に、ラブコールのようにエモーショナルな部分への訴えかけが必要である。どちらが欠けていてもいけない。両側面からの追求が必要である。

こういうことは、看板の素人には難しい。そこはやはり「餅は餅屋」で、看板に集中、特化することによって独自のノウハウを蓄積しているプロフェッショナルにまかせたほうがいい結果を招くことが多いようだ。

店長たちのなかには、看板が持つ威力に気づき、自分なりに看板の使い方を考えたり、すでに一家言を持ち新規客を呼び込んでいる人もいる。しかし、それでもその道のプロフェッショナルにはかなわないのだ。

また、-CI(corporate identity)を導入したから集客力がアップすると考えている人もいる。しかし、CIというのは社員にとって、また顧客にとっての自社のイメージを創造するものであって、集客力とは関連があるものの、直結しているものではない。

集客力を集中的にアップするには、看板がきわめて有効だ。最小限のコストで、最大の集客効果を得られるのが、看板の魅力であり威力である。

実際に看板を変えることによって集客がアップしたといって店長が満足するのは、来客数が20%を超えたときである。店長が変化を知るのは20%を超えたときだから、私は20%を超えることを常に意識している。

看板を変えるだけで集客力が20%もアップするといっても、にわかには信じてもらえないかもしれないが、間違いなくそれが可能なのだ。

看板はもはや単なる表札ではない。販促のためのツール、集客力をアップするためのきわめて重要なツールなのである。お店の魅力や店長の思いを看板でストレートに伝えることで、集客力は20%アップできるのである。